ファイナンシャルプランナーの教える貯蓄講座 第2回 無駄な支出の減らし方~オール電化・電力自由化編~

第2回以降では、第1回のアンケートで関心が高かった「無駄な支出の減らし方」をテーマに取り上げていきます。

無駄なくかしこく貯蓄していくためには、毎月の支出を見直して無駄な支払いを減らしていくことが大切です。無駄な支払いを減らすためには、いろいろな方法がありますが、第2回では、オール電化などを活用して電気代などの光熱費を抑える方法とその際に注意が必要なポイントをご案内していきます。

「オール電化」と「電力自由化」

オール電化とは、家庭で使用するエネルギーを電気・ガスから電気だけに統一することです。

基本使用料が1つにまとまり、基本の支出を減らすことが可能です。また、使用する時間を上手にコントロールして使えばガスに比べて、エネルギー単価が低くなるので、ランニングコストを抑える効果も期待できます。

電力自由化とは、2016年4月に適用されたもので、他の企業が電力事業に参入しても良いというものです。これまでは、住む地域によって、契約できる電力会社が決まっていましたが、電力自由化後は、複数の電力会社のプランを比較し、自由に電力会社を選べるようになりました。

より安いプランを提供している会社に契約を切り替えることで、生活スタイルや設備を変えずにコストを抑えられるということで、電力自由化をきっかけに契約を見直した人も多くでました。

しかし、オール電化と電力会社の見直しで必ずしも節約につながるとは限りません。「こんなはずではなかった」と切り替えてから後悔することがないように、両者のポイントをしっかり把握してから切替を検討してみましょう。

オール電化を選ぶときのポイント

オール電化のメリットと注意点を表にまとめると以下の通りです。

オール電化のメリット:・基本料金を削減できる・月々のコストを抑えられる オール電化の注意点:・昼間の電気代が高く設定されている
							・設置コストが高い

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

夜間電力の活用が可能か「生活スタイル」をしっかりと見据えて検討を。

オール電化の料金プランは、夜間の電気代が安く、日中の電気代が少し高く設定されているのが一般的。まずは、生活スタイルとご契約プランの時間帯ごとのランニングコストを正しく把握するのがポイントです。

オール電化をお勧めするのは、例えば、夫婦共働きで、日中家を留守にするような家庭。安価な夜間電力を活用できますので、オール電化で大きな節約効果が期待できます。

日中に家事で電気や水道を多く使用する家庭や、リモート勤務で「おうち時間」が増えた家庭では、電気・ガスの併用時よりも電気代が高くなる可能性も。
こういったケースでは、電力自由化の後に増えてきた「電気+ガス」をまとめて契約し、利用料ごとの割引や基本料金の減額が受けられる「電気とガスのセット契約プラン」を利用したほうがオトクなケースもあります。

事前の検討の際に、オール電化の「導入前シミュレーション」の試算のみで検討すると、「実は昼夜の電力配分を考慮していなかった」といったケースもありますので、注意も必要です。

現在の生活スタイルを把握して契約を検討することで、はじめて自分たちにベストのプランが見えてきます。
日々の生活やこれからの家族みんなのプランをしっかりと見つめ、契約を行いましょう。

オール電化するなら
夜間電力をどれだけ活用できるかがポイント!

オール電化の際は基本的に「夜間電力をどれだけ活用できるかで」おトクさに差が出てきます。タイマー機能を活用し、炊飯機や食器洗浄機、乾燥機などはお得な夜間電力で稼働できれば、よりおトクですよ。

また、日中お湯を多く使用するご家庭は要検討。電気でお湯を沸かすエコキュートは、電気代が安い夜間にお湯を沸かしますが、日中お湯が足りなくなると電気代の高い時間帯に焚き増しを行うため、ケースによっては導入前より費用がかさんでしまうことも。
初期費用は少し高くなりますが、余裕を持った容量の機器を検討するのも長期では◎です。

生活スタイルを把握し日々を最適化することで、オール電化を100%活用しちゃいましょう。

設置コストの回収計画をしっかりと

電気・ガスを併用している家庭がオール電化に切り替える場合、本体機器の費用に加え、基礎工事費用、水道関連の工事費用、電気関連の工事費用といった初期費用が発生します。

オール電化の普及によって低コスト化が進んでいますが、おおよそ60~80万円程度の初期費用となるケースが多いようです。
日々の電気代が節約できれば、長期でみればもちろんおトクなのですが、居住期間が短ければ、支出が増えただけで終わる可能性もあるため、「どれくらいの節約でどの程度の期間で回収できるか」という視点を持つのは大切です。

仮に月々4,000円、1年で4万8,000円節約した場合、中期で見ればかなりオトクと言えそうですね。

月々2,000円、1年で2万4,000円節約した場合はどうでしょうか?
一見、十分に「節約成功」に見えますが初期投資の回収には25年以上かかってしまいます。こういったケースでは前述の「電気とガスのセット契約プラン」を検討する方がよりオトクかもしれません。

設備の刷新をすれば日々の生活の快適化するので、その価値も考えると単純に比較するのは難しいところではありますが、正しく数字を把握して検討することで、より最適な設備プランが見えてくることもあるでしょう。

「新築」「リフォーム」「賃貸」で
変わるコスト意識

新築物件の場合ならば、家に住む予定も長いはずですので、じっくりと初期費用の回収をすることができる可能性が高く、前向きに検討できますね。

リフォームの場合は、「あと何年家に住む予定か」も意識するのも大切です。住む予定の年月を踏まえて検討するとで、違う答えが見えてくることもあるかもしれません。

賃貸にお住いの場合で生活スタイルがマッチしているのなら、「オール電化」の賃貸に住み替えを検討することも十分選択肢に入ります。「引越費用」「礼金」などのコストが回収できるか、じっくり検討をしてみましょう。

電力会社見直しのポイントをチェック!

電力会社見直しのメリットと注意点を表にまとめると以下の通りです。

電力自由化のメリット:・月々のコストを抑えられる 電力自由化の注意点:・解約手数料が高い・料金プラン次第では電気代が高くなる

それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。

解約手数料はしっかり見ましたか?

電力自由化の前まで契約期間を意識する必要はありませんでしたが、電力自由化によって様々な料金プランが登場するようになりました。

料金プランの中には、月々の電気代を安く抑えられる一方、契約期間が決まっていて、途中解約の際に違約金が発生するものや解約時に解約手数料が発生するものがあります。

そのような違約金や解約金の存在を知らないまま契約した人の中には、解約時に違約金や手数料が発生して、節約できるどころか損をするケースも。

基本的にはランニングコストの安価なプランを選べばOKですが、お引越しが多いご家庭の場合は少し注意が必要かもしれませんね。

先を見据えた検討で
本当にお得なプランを見つけましょう

解約に関する項目はしっかりと読み込むことが大切です。

年数縛りについては、期間が長ければ長いほど割安料金が適用されるのが一般的ですが、その分、契約期間中に途中解約した場合の違約金が高く設定されているケースが多いので注意しましょう。

ただ、月々の電気の使用量が多いのであれば、「違約金を払っても十分オトク」という事もあるかもしれません。これらの費用も「コスト」として見据えて、数年先を想定しながら検討することで本当にお得なプランが見つかるはずです。

電気料金が逆に高くなる!?

電気代が急に変動するということは基本的にありませんが、電力自由化によって登場した電力会社が市場連動型の料金プランを提供している場合は注意が必要です。

市場連動型とは、日本卸電力取引所の取引価格に連動して電気代が決まるというものです。2020年12月後半に、発電に必要な液化天然ガスの不足、寒波の到来によって電力の需要が高まったことを受けて、日本卸電力取引所の取引価格が高騰しました。

普段10円/kWh前後、夏のピーク時には一時的に50円/kWhになるときも……という価格帯である取引価格が最大250円/kWhまで高騰し、1か月の長期にわたり数十円/kWにという高値を継続してしまったのです。(※現在は一定以上上がらないように最大価格が設定されました)

その結果、市場連動型を採用している電力会社と契約を締結している人は、多額の電気代を請求されることになりました。

電力会社を変更すれば「いつでも電気代が安くなる」というわけではありません。電力会社がどのような料金プランを採用していて、高騰時のリスクをどう管理しているのかなどをしっかり確認しましょう。

まとめと次回のご案内

活用すればとってもおトクな「オール電化」と「電力自由化」。
是非今回のポイントを押さえて、無駄な支出を減らしてください。毎月発生する費用なので、しっかり家計にプラスになりますよ。

ただ、検討をおこたって導入してしまうと、効果が減ってしまったり、時に逆効果になるケースもご紹介しました。生活スタイルにあわせて最善の選択をしましょう。

次回のテーマ 無駄な支出の減らし方 ~ キャッシュレス編 ~

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